東京電力福島第一原発が、あちらをたてればこちらがたたない異常な事態に陥っています。タービン建屋から外につながる行動に放射線に汚染された水がたまり、海に流れ出す危険にさらされています。一方、燃料を冷やすためには大量の水を注入し続けなければなりません。結局は、汚染水を海に投げ捨てる羽目になるのでしょうか。大気汚染、土壌汚染、海洋汚染の連鎖が広がるだけなのか。
東電の福島原発パンフレット
1冊のパンフレットのコピーが手元にあります。東京電力が12年前、1999年2月に発行した『12世紀のエネルギーのために 福島第一原子力発電所』です。このとき、東電はどんな宣伝をしていたのか。記録しておくことも意味があるでしょう。
「設備の多重化」と題して、次のように書いてあります。
「原子力発電所の設備は安全確保のための機器が二重三重になっています。また放射能をとじこめる防壁は何重にもなっていて、仮に事故が発生しても放射能が外へでて周辺の人々に影響を与えることは考えられません」
「地震対策」という項目もあります。
「福島第一原子力発電所では、当地方の地震や高潮、津波についても過去数百年にさかのぼり調査し、これをもとに予想される最大級の地震に対しても、十分余裕をもって設計されています」
ここで、国会の議事録を紹介します。上の東電パンフレットと読み比べてください。
事態を予見した国会質問
質問者は、日本共産党の吉井英勝衆院議員。国会会議録検索システムを使って見ることができます。検索用に必要な情報を記します。
平成十八年三月一日 第百六十四回国会衆議院 予算委員会第七分科会。
この質問で吉井氏は、津波による「炉心溶融」「水蒸気爆発」「水素爆発」が起きる危険性を指摘しています。答弁者の「広瀬政府参考人」は、原子力安全・保安院長の広瀬研吉氏です。
議事録は
吉井議員のホームページからも入手できます。
○吉井分科員 今おっしゃった四分の話というのは、直下型で同時に津波が起こったときには、私はそういう発想も成り立つかと思っているんです。それをあながち否定しているんじゃないんです。しかし、チリ津波なんかのときには、そもそも周期が五十分なんですね。長いんです。そのときは、水位低下の状態が長時間にわたるわけです、二十分近くとか、あるいはもう少し長い場合とか。ですから、それは、今おっしゃったような簡単な話じゃない。
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